シナリオの迷宮 ~あるいは(無恥がもたらす予期せぬ軌跡)

脚本愛好家じぇれの思考の旅。とりとめもなく綴っていきます。

『ジョーカー』再鑑賞前に覚え書き(ネタバレあり)

私の『ジョーカー』解釈は超マイノリティ。
しかし、再鑑賞したら初見時の解釈が消えてしまうかもしれません。
それはイヤだなぁという訳で、合ってるかどうかは関係なく、再鑑賞前に残しておこうと思います。

※以降、本編のネタバレを含みます。ご注意ください。

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【中盤に行われるチュートリアル
シングルマザーがただの隣人にすぎないとわかる衝撃のシーンがあります。
これによって、TVショーで称えられたエピソードも、コメディクラブで大喝采だったエピソードも、全てアーサーの妄想だったと判明します。

このシークエンスの役割はずばりチュートリアル
「本作は現実と妄想がシームレスに編集されています。わかりましたね? さぁ、これからクライマックスに入りますが、忘れちゃいけませんよ!」

簡単に言えば、アーサーが褒められているのは妄想の可能性が高いから気をつけろってこと←これ重要

【クライマックスの不自然さ】
①TV局での殺害

②パトカーで連行

③救急車衝突による救出

④暴徒に崇められ、ジョーカー爆誕

⑤ジョーカーの見てないところで、暴徒Tウェイン殺害

⑥精神病院でカウンセリング(?)

⑦ジョーカー、見てもいないTウェイン殺害をそのまんま思い描く

⑤と⑦が矛盾するんです。
アーサーはなぜ⑤のままの状況を思い描けたのか?
それは⑤も妄想だから。

はい、チュートリアルを活かす時がきましたよ!
アーサーが褒められているのは妄想の可能性が高いんでしたよね。
つまり、③④⑤は妄想なんです。
実際には、アーサーはパトカーで連行され、そのまま精神病院へ。

ということは、Tウェインも無事。
最後の⑦は、Tウェインが殺されBウェインが自分の宿敵になる、という妄想!

【初見時に私を震わせた正体】
以上が、初鑑賞時の私の思考でした。
そのため、ラストにはとてつもない衝撃を受けました。
だって、あの有名なバットマン誕生譚はただの狂人の妄想だってオチなんですから!
アーサーの脳内にのみ悪のカリスマ・ジョーカーが存在し、宿敵バットマンも現実には存在しない。
そんな物語をDCが生み出したことに興奮したんです。
そして、同時に身が引き締まる想いに。

「現実にはスーパーヒーローは存在しない。お前らが社会を変えろ!決してアーサーになるな!決してアーサーを生み出すな!」

トッド・フィリップスにこう言われたように感じたんですよねぇ。
これも、妄想というか、トンチンカンな解釈なんでしょうけどね。


【謝意】
まとまりのない備忘録を最後まで読んでくださり、誠にありがとうございます。

こんな私的な解釈でも、楽しんでいただけたら幸いです。