シナリオの迷宮 ~あるいは(無恥がもたらす予期せぬ軌跡)

脚本愛好家じぇれの思考の旅。とりとめもなく綴っていきます。

『ラバランチュラ 全員出動!』B級映画かくあるべし(ネタバレなし)

こんにちは、じぇれです。

前回に引き続き、課題作品はB級映画
しかも、厳密には劇場用映画ではなく、TV用映画(テレフィーチャー)です。
さて、その味わいは?

《地獄の映画100本ノック その16 『ラバランチュラ 全員出動!》

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「あの『ポリスアカデミー』のメンバーが集結!」

う~ん、もう21世紀ですよ。
今更スティーヴ・グッテンバーグですか!?
マイケル・ウィンスローですか!?
大丈夫?

とまぁ、不安一杯ながらも、タイムスリップ気分で再生ボタンをポチッとな。

いやぁ~、面白い!
おぉぉ~、燃えた!
この監督、低予算映画を面白くするツボをよ~くご存知で。

まずは、簡単にあらすじを。

【あらすじ】
20年前大ヒットアクション映画に主演したコルトン・ウェストも今じゃ落ち目。ある日現場で大喧嘩した帰り道、火山が大噴火。しかも、溶岩を吐く巨大蜘蛛”ラバランチュラ”が襲ってきたから、さあ大変! 家族を救うため、コルトンは現実世界でヒーローとなる!

【感想】
簡単に言えば、同じくテレフィーチャー『シャークネード』の蜘蛛バージョン。
CGだって『シャークネード』レベル。

でもですね、脚本が実によくできているんですよ。
手際よく主人公の人となりを説明し、すぐさま巨大蜘蛛と鉢合わせ。
このテンポの良さは実に魅力的。

その後も、安手のCGに頼ることなく、キャラクターの面白さで引っ張っていきます。
また、随所に挟みこまれるアクション映画のパロディを楽しんでいると、次第に全体のテーマも見えてくるんですね。
それは__

「おっさんだってやり直せる!」

このテーマがきっちりとプロットにも織り込まれているので、多少安っぽくても熱くなれるんです。

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しかも、演じるのが落ち目のスティーヴ・グッテンバーグですから、説得力もハンパない!
80年代にはトム・ハンクス以上の人気若手スターだったスティーヴが、本作に『ポリスアカデミー』メンバーを誘ったのも、「お互い落ち目だけど、まだまだやり直せるはずだぜ」って想いからなのでしょう。
しかも、撮影直前に急遽呼ばれたマイケル・ウィンスローときたら、30年経った今でも声帯模写で笑いを誘ってきて......

あれ、超B級クモ映画を観ながら、なんで私は泣いてるんだろう???

というわけで、『ポリスアカデミー』を知らなくたって楽しめるはずですので、ぜひぜひご覧あれ!