『リズと青い鳥』非アニオタから見た心情表現(ネタバレなし)
こんにちは、じぇれです。
難敵『ボーグマン』のblogを終えたので、これからはバンバンアップしていきますね。
というわけで、今回の課題作品は『リズと青い鳥』。
この作品は『響け!ユーフォニアム』という人気アニメシリーズのスピンオフ。
しかしながら、私は1秒も観たことがありません。
それどころか、幼き頃からマンガを一切読まず、アニメもそれほど多くは観ていません。
そのためか、ギャグをやるときに急に絵柄がコミカルになったり等身が変わったりするアニメ特有の表現が、どうにも苦手なんですよ。
今日は、そんな非アニオタの私が感じたことを率直に綴っていきます。
アニメの常識をわかっていないが故にムチャクチャなことも書くかもしれませんが、どうか温かい目で見てください。
《地獄の映画100本ノック その14 『リズと青い鳥』》
※”地獄の//映画100本ノック”です。”地獄の映画”ではありませんので、誤解なきよう!
まずは鑑賞直後の呟きをどうぞ。
『リズと青い鳥』
— じぇれ (@kasa919JI) 2019年4月7日
陽の希美と陰のみぞれ。仲良しであるはずの2人のズレを、劇中劇や演奏シーンによって繊細に表現する秀作。多感な思春期特有の嫉妬や孤独を丁寧に描き出し、「こんなこと自分にもあったなぁ」と共感しまくり。#地獄の映画100本ノック その14 pic.twitter.com/RXQYmM6cRd
アニメをあまり観ていないと書きましたが、実は山田尚子監督の前作『聲の形』は観ています。
なので、あまり苦手な表現はないだろうと思っていましたが、それどころか完全に心を奪われました。
私自身が高校時代に吹奏楽部に入っていたことも、共感しやすかった要因ですが、それだけではないんですよ。
本作品では、徹底して記号論的表現を排除しているように感じました。
手塚治虫さんが確立したらしい記号論は、2次元の絵で物語る上では欠かせない表現手法です。
簡単に言えば、喜怒哀楽を明確に表情に反映させる表現。
ですから、アニメは喜怒哀楽のメリハリの効いた物語との相性がすこぶるいいんですね。
しかしながら、人間とは複雑怪奇な生き物でして。
往々にして外と内が一致しない。
よく言う「顔で笑って、心で泣いて」といういびつな心情表現をしてしまうんです。
そのため、『リズと青い鳥』のような繊細な心情表現が必要な物語は、実写でこそ表現できるものの、アニメでは難しいんじゃないかと思っていました。
(※実写では表情のアップ一つで複雑な心理も表現できますからね。もちろん上手い役者であればですが。最近は、視聴者がアニメに親しんでいるため、そして若い役者のレベルが低いため、実写でも記号論的演技を多用している作品も増えました)
しか~し!
山田尚子監督は記号論的表現や説明的なセリフを排し、多彩なテクニックを駆使することで、繊細な心情表現をアニメで実現しました。
これは本当に凄いことだと思います。
要所では敢えて顔を切り、歩き方や手のカットなどを幾重にも組み合わせることで、詩情的な作品に仕上げたわけです。
このような作品が他にないわけではないでしょう。
私がアニメに無知なために、他を知らないだけだと思います。
それでも、本作の完成度の高さは、アニメを新たなステージに引き上げることに貢献したはずです。
だからこそ、敢えて2つの注文をつけます。
山田尚子監督なら乗り越えられると信じて。
①セリフの言い回し
映像表現のブラッシュアップと比較すると、セリフ回しは従来の記号論的アニメ手法に近かったように感じました。
今回の感情表現にふさわしい、より生々しいセリフ回しを追求していただくと、更に芸術性が増すんじゃないでしょうか。
②いささかテクニックが目立ちすぎる
これは酷な注文かもしれませんが、アニメに詳しくない者の戯言として、率直な気持ちを書かせていただきます。
記号論的表現を排するために、多くの技法を用いらなければならず、少々鼻につく表現になってしまったように思えます。
手数を減らして、同等の繊細さを獲得する術がないか、次回作では更なるチャレンジをしてほしいです。
やはり、顔を切ったカットは不自然なので、多用すると人工的でテクニカルに感じちゃうんですよね。
などと無責任に書いちゃいましたが、アニメをあまり観ない私でも、本作には感動できました。
実写でもこれだけ繊細な心情表現ができた邦画作品は、近年殆どないんじゃないでしょうか?
というわけで、山田尚子監督の次回作も必ず観ます!
ではでは、本日はこれにて終了。
次回作は、久しぶりにガチの”観るのが地獄”枠です(笑)
お楽しみに~!