シナリオの迷宮 ~あるいは(無恥がもたらす予期せぬ軌跡)

脚本愛好家じぇれの思考の旅。とりとめもなく綴っていきます。

アンダー・ザ・アンダー・ザ・シルバーレイク__映画の下に隠された本当の物語(ネタバレあり)

眩惑的なプロットで観客を惑わす『アンダー・ザ・シルバーレイク』。
こういう物語は、鑑賞後も自身でうんうん唸りながら考えるのが、最大の楽しみ方。

ですが、野暮なことをしてみようかなと、久しぶりに解釈をまとめてみます。
といっても、一つ一つシーンを挙げて読み解くことは敢えてしません。

ここでは、私が読み解いた物語を提示するだけに留めます。
これが正しいのか間違っているのか、判断も皆さんに委ねます。
あなた自身の『アンダー・ザ・シルバーレイク』思考の旅のしおりの1つとしてお使いください。



以下、ネ タ バ レ あり









サムは夢(おそらく音楽)を抱き、LAに来た。
恋人も出来た。犬を愛する女の子だ。

しかし、仕事は思うようにいかない。
(ふざけんな! 俺の力を誰も認めてくれないのか!)
恋人とも上手くいかなくなり、ついに別れる。
(犬とも仲良くしてやったのに。いや、犬が悪いんだな)

_____ここから映画で描かれます______

最悪の通知が貼り出されている。退去勧告だ。
(ホームレスなんてまっぴらだ。イヤだ!イヤだ!)

_____サムの妄想癖が現実逃避へ______

①才能がなかったわけじゃない。LAのシステムがおかしいだけだ!→ソングライターの妄想

②元恋人は看板に出るほどのステップアップをしているが、あいつはビッチなのさ!→本作の美女たち/ドッグキラーの妄想

_____そして現実に引き戻される______

強制退去。

ホームレスを嫌うサムは、妄想ではない現実逃避を始める。
熟女の家に転がりこんだのだ。
そんなサムに鳥はなんと語りかけているのか?


【最後に】
本作は核となるドラマ(『ラ・ラ・ランド』に似た物語)がありながらも、それをメインに据えていないんですね。
物語を途中から始めているんです。

様々なことに綻びが見え、どうしようもなくなった状態を、映画では切り取っています。
妄想にからめとられて現実逃避していく様を描いているんです。
また、どの妄想もスイッチが入る前に、必ず現実世界でサムが目撃しています。
目撃した何かを使って、無意識に妄想を作り出しているんですね。

とまあ、私は非常にシンプルな物語だと読み解きました。
あなたはどう思いますか?
あなた自身の思索の旅を教えてください。